近年はセルフ式のカフェやコンビニなどで、手軽に本格的なコーヒーを飲むことができます。
しかしもっと自分好みの味わいにこだわったコーヒーを楽しみたいなら、ハンドドリップコーヒーがおすすめです。
とはいえ、ハンドドリップコーヒーは「敷居が高そう…」とイメージする方もいることでしょう。
そこで今回は自宅で毎日ハンドドリップコーヒーを淹れて飲んでいる筆者が、ハンドドリップコーヒーに必要な道具・材料や淹れ方などわかりやすく解説いたします。
ハンドドリップのコーヒーとは何か

「ドリップ(Drip)」とは、滴る・ポタポタと落ちるといった意味がある英単語です。
コーヒーにおいては、コーヒー粉にお湯を注いで抽出する工程を指します。
つまりハンドドリップコーヒーとは、「手作業でお湯を注ぎ抽出したコーヒー」のことです。
ステイホーム中心の生活を求められていた社会情勢の影響もあり、家にいながら本格的なコーヒーを楽しむことができるハンドドリップコーヒーへの注目度が高まっています。
ハンドドリップのコーヒーの定義

ハンドドリップといえば、ペーパーフィルターを使ってコーヒーを抽出する様子を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
一般的によく使われているのはペーパーフィルターですが、淹れる人のこだわりによっては金属フィルターやネル(布)フィルターが使われることもあります。
使う道具にかかわらず、「手作業でお湯を入れてコーヒーを抽出する」のであればそれはハンドドリップと言えます。
ちなみに「ドリップコーヒー」と呼ばれるコーヒーは、お湯を注いで抽出したコーヒーのことです。
ハンドドリップコーヒーだけでなく、エスプレッソマシンやサイフォン、カフェプレスなどの抽出方法もドリップコーヒーに含まれます。
ハンドドリップのコーヒーが注目を集める理由

ハンドドリップコーヒーは以下のようなメリットがあることから注目度が高まり、新たな趣味として挑戦する人が増えています。
- 道具の種類が豊富かつ手頃な価格なので始めやすい
- ネット上などに参考情報が多く出回っている
- 豆の種類や抽出方法によってコーヒーの味が大きく変わる
ハンドドリップコーヒーは他の趣味と比較して初期コストが低く、誰でもすぐに始めることができます。
その気軽さに反して、コーヒー豆や抽出方法によって出来上がるコーヒーの味が大きく変わるという奥深さもあり、多くの人がハンドドリップコーヒーに魅力を感じているのです。
コーヒーの作り方と道具の紹介

入門: ドリップバッグを使った手軽な方法
ドリップバッグは、コーヒー粉が既にセットされているため、お湯を注ぐだけで簡単にハンドドリップが楽しめます。初心者におすすめの方法です。
初級: ドリップフィルターとコーヒー粉を別々に準備
ドリップフィルターを用意し、自分で選んだコーヒー粉をセットすることで、より自分好みの味を追求できます。また、好きなコーヒー豆を挽くことも可能です。
中級: 専用器具(ドリッパー)を使ってコーヒーを淹れる
ドリッパーを使用すると、抽出速度や温度の調整が容易になり、より繊細な味わいのコーヒーが楽しめます。慣れれば、さまざまな味のバリエーションが楽しめます。
ハンドドリップで必要な道具の紹介

ハンドドリップに必要な基本の道具・材料は、以下の通りです。
- ドリッパー
- ペーパーフィルター
- サーバー
- 細口ドリップポット
- メジャースプーン
- コーヒー豆、コーヒー粉
- コーヒーミル
それぞれの種類と選び方を、以下より詳しく解説いたします。
ドリッパー
コーヒー抽出に使用する主要な器具です。陶器やガラス製が一般的で、形状や抽出口の数によって抽出特性が異なります。
ペーパーフィルター
コーヒー粉とお湯を通す際に使用します。ペーパーの厚さや質によって、コーヒーの味や香りが変わることがあります。
サーバー
抽出したコーヒーを一時的にためる容器です。ガラス製やステンレス製が一般的で、容量やデザインによって選ぶことができます。また、保温性能が高いものを選ぶと、コーヒーが冷めにくくなります。
細口ドリップポット
お湯をコーヒー粉に注ぐ際に使用します。細口になっていることで、お湯の流れをコントロールしやすく、均一に注ぐことが可能です。
メジャースプーン
コーヒー粉の量を計るためのスプーンです。一般的には、1杯分のコーヒーに対して大さじ1杯の粉が目安とされていますが、好みによって調整できます。
コーヒー粉
ハンドドリップで使用するコーヒー粉は、中細挽きが適しています。挽き方によって抽出時間や味が変わるため、試行錯誤して自分好みの味を見つけましょう。
コーヒーミル
コーヒー豆で購入した場合、コーヒー粉にするにはコーヒーミルを使う必要があります。コーヒーミルには手動タイプと電動タイプの2種類があり、手軽にコーヒーを挽きたい場合は電動ミルがおすすめです。
ハンドドリップに必要な道具・材料の選び方

前述した道具・材料について、以下で選び方を詳しく解説いたします。
ドリップケトル・ボトルの種類と選び方
コーヒー粉に注ぐためのお湯を沸かすケトルです。
一般的なケトルとは違って注ぎ口が細くなっており、コーヒー粉に少しずつお湯を注ぐことができます。
注ぎ口の幅は製品によって異なりますが、初心者であればできるだけ細いタイプのケトルを選ぶと良いでしょう。
また、コーヒーを淹れる量に合わせて様々なサイズが展開されていることも特徴ですが、扱いに慣れていないうちは軽量で使いやすい700ml前後の容量がおすすめです。
コーヒードリッパーの種類と選び方
コーヒーフィルターをセットするための道具です。
種類は大きく分けて「円錐型」と「台形型」があり、抽出したコーヒーが落ちる穴の大きさが違います。
円錐型の穴は比較的大きく、お湯を注ぐ量・速さによって味の変化が出やすいタイプです。
一方で台形型は穴が比較的小さく、お湯の注ぎ方で味に影響が出にくいという特徴があります。
抽出の工程にゆっくりと慣れていきたい初心者の方であれば、台形型の方がおすすめです。
また、コーヒードリッパーも製品によって大きさが違うため、淹れる量に合ったものを選びましょう。
メーカー別コーヒードリッパーの特徴
カリタ
カリタのドリッパーは平底で、抽出口が3つあることが特徴です。これにより、抽出速度が安定し、均一な味わいのコーヒーが淹れられます。
メリタ
メリタのドリッパーは円錐形で、抽出口が1つのデザインが一般的です。抽出速度がやや遅めで、コーヒーの香りをじっくり引き出すことができます。
ハリオ
ハリオのドリッパーはV字型で、螺旋状のリブが特徴です。これにより、コーヒー粉とお湯の接触時間が長くなり、より豊かな味わいが引き出されます。
フィルターの種類と選び方
コーヒーを抽出するために欠かせない道具で、主に「ペーパー(紙製)」「ステンレス製」「ネル(布製)」などのタイプがあります。
入手のしやすさと扱いやすさという点では、ペーパーフィルターがおすすめです。
コーヒーショップはもちろん、スーパー・コンビニ・100円ショップなど様々なお店で購入することができます。
一方、繰り返し使えるものが欲しい場合はステンレス製やネルフィルターを選んでも良いでしょう。
ステンレスフィルターで淹れたコーヒーはややとろみのある口当たりに、ネルフィルターのコーヒーは喫茶店のコーヒーを思わせるしっかりとした味わいになります。
ただしどちらも手入れの手間が生じるため、注意が必要です。
コーヒー豆の種類と挽き方
コーヒーの味を決める大きな要因と言っても過言ではない、コーヒー豆。
お店で販売されているコーヒー豆は、大きく分けて「ストレート」と「ブレンド」があります。
ストレートはパッケージに銘柄のみ記載されている場合が多く、その豆本来の味わいを楽しむことができます。
一方でブレンドは、複数の銘柄の豆を配合して複雑な味わいを作り出していることが特徴です。
また、形状としては焙煎後の豆が丸ごと入っているタイプ、すでに挽いて粉状になったタイプの2通りがあります。
コーヒーは豆を挽いた直後から「鮮度」が落ちていくため、香り豊かなコーヒーを楽しみたい方は前者を選ぶと良いでしょう。
一方、日頃から頻繁にコーヒーを飲み、なおかつ豆を挽く手間を省きたい方は後者がおすすめです。
コーヒー豆の産地選びに迷う場合は、コーヒーショップのスタッフに相談すると最適な豆を選んでもらえることもあります。
コーヒーミルの種類
粉ではないコーヒー豆を購入する場合、自宅で豆を挽くための「コーヒーミル」も必要です。
コーヒーミルには手動タイプと電動タイプがありますが、初心者の方は以下のように扱いやすくコンパクトな製品がおすすめです。
【手動タイプ】


【電動タイプ】


初心者向け: おいしいドリップコーヒーの淹れ方と手順

必要な道具やコーヒー豆を揃えたら、以下の手順を参考にコーヒーを淹れてみましょう。

粉タイプのコーヒー豆か、あらかじめ挽いておいたコーヒー豆を用意します。
コーヒードリッパーにフィルターをセットしてから、コーヒー粉を入れましょう。
なお、コーヒー粉を入れる前にフィルターをお湯で湿らせておくと紙の匂いを抑えることができます。


沸かしておいたお湯をコーヒー粉に注ぎ、20~30秒程度蒸らします。
蒸らしている間、カップにお湯を入れて温めておくとよりおいしくコーヒーを楽しむことができます。

「の」を描くようにコーヒー粉へお湯を注ぎます。
一気に大量のお湯を注ぐのではなく、少量ずつ数回に分けてゆっくりと注ぎましょう。

コーヒーをハンドドリップする際の注意点

上記はハンドドリップの基本的な工程となりますが、おいしいコーヒーに仕上げるためにはいくつか注意するべき点があります。
お湯の温度と量の調整
コーヒーの風味は、お湯の温度や量によって変わります。
最も雑味が抑えられるのは「90~95℃」程度のお湯で、沸騰してから火を止めて20~30秒程度置くとそのくらいの温度に落ち着きます。
なお、お湯の温度が低ければ苦味が抑え、温度が高ければ酸味を抑えることが可能です。
お湯の量についてはお好みの濃さに合わせて調整しても良いですが、最初は豆の量に応じて次項の目安表を参考にしてみてください。
コーヒー豆の量
お湯と同じく、使用するコーヒー豆の量もお好みの濃さに合わせて調整する必要があります。
好みの濃さが定まっていないうちは、以下の目安表に記載した分量で淹れてみてください。
杯数(1度に抽出する量) | 豆の量 |
---|---|
1杯分(150cc) | 10g |
2杯分(300cc) | 20g |
3杯分(450cc) | 28g |
4杯分(600cc) | 36g |
3杯目以降に豆の増加量が減る理由、計り方などは以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
コーヒーの落とし方
コーヒーを抽出するときは、「抽出時間」と「フィルターを使った抽出方法」についてのポイントも意識してみましょう。
コーヒーの抽出時間の調整
コーヒーの抽出にかける時間は、「3分程度」が理想的とされています。
コーヒー粉の蒸らし時間は20~30秒程度、そこから2分30秒前後で抽出が完了することを意識するとより旨味のあるコーヒーに仕上がります。
フィルターを使ったコーヒーの落とし方
手順でもご紹介した通り、コーヒーを抽出する際は最初に少量のお湯を注いでコーヒー粉を蒸らします。
これにより、豆が含んでいたガスが抜けてコーヒーの旨味成分を効率良く抽出することが可能です。
蒸らすときはサーバーにコーヒーが数滴落ちる程度までお湯を注ぎましょう。
蒸らしたあとは、お湯がフィルターに触れないよう注意しながらコーヒー粉にだけゆっくりと注いでいきます。
「粉の表面にお湯を乗せる」というイメージで、静かに少しずつ注ぎましょう。
ハンドドリップコーヒーを美味しく淹れるためのポイント

ハンドドリップコーヒーの楽しみ方は、抽出方法や道具以外のポイントで幅を広げることもできます。
併せて、コーヒー豆のおいしさを保つための保存方法も把握しておきましょう。
コーヒーの味わい方と豆の種類の選び方
コーヒーには苦味だけでなく、甘味・酸味・旨味・塩味といった味わいが含まれています。
また、コーヒーを口に含んだときに鼻から抜ける香り(フレーバー)も、産地によってフルーツや花、ナッツなど異なる風味を感じることができます。
同じ産地でも焙煎方法によって感じ方が変わることもあるため、自分好みの風味と出会うには様々な豆を試してみる必要があります。
初心者の方は、まず焙煎方法を参考に豆を選んでみると良いでしょう。
コーヒー豆は焙煎が浅いものほど酸味が強く、苦味が弱い傾向にあります。
逆に焙煎が深い物は苦味が強く、酸味は少ないです。
フルーティーな風味やすっきりとした飲み心地が好きな方は「浅煎り」、苦味やコクのあるコーヒーを好む方なら「深煎り」がおすすめです。
コーヒーの鮮度と保存方法
焙煎後のコーヒー豆は、時間の経過と共に鮮度が落ちていきます。
コーヒー豆の鮮度は空気・湿度・温度・光の影響を受けて落ちていくため、それらを避けて密閉保存することが大切です。
購入後、未開封の場合は高温多湿な環境でない限りそのまま常温で保存しても問題ありません。
開封済みの豆については、ゴムパッキンつきのキャニスターや密閉袋などに移しましょう。
1ヵ月以内に飲みきることが可能であれば、冷蔵庫で保存することをおすすめします。
飲みきるまでに1ヵ月以上かかる場合は、袋のまま冷蔵庫または冷凍庫で保存しましょう。
ハンドドリップコーヒーに関するよくある質問

最後に、ハンドドリップコーヒーに関してよくある質問を回答と一緒にまとめました。
まとめ
ハンドドリップコーヒーは、必要な道具とコーヒー豆さえ用意すれば自宅で本格的な味わいのコーヒーを飲むことができます。
一口にハンドドリップコーヒーと言っても、使用する道具・コーヒー豆の種類や量・お湯の温度や量・お湯の注ぎ方などで出来上がるコーヒーの味は変わります。
「誰でも理想のコーヒーを追求できる」ことが、ハンドドリップの大きな魅力です。
本記事では抽出に必要な基本情報を中心に解説しましたが、他にも使用するカップ選びやお供の食べ物など、ハンドドリップコーヒーの楽しみ方は無限大に広がっています。
まずは基本的な抽出方法から理解し、少しずつ自分だけの楽しみ方を見つけてみてください。
この記事と一緒によく読まれている記事
-
コメダ珈琲でwifiは利用できる?接続方法と通信速度を調査【実践レポあり】
-
ウイスキーとコーヒーのカクテルおすすめ4選と作り方(レシピ付き)
-
2021年リニューアルしたドトールの定番ミラノサンドを解説【実食レポ付き】
-
猫の糞?幻のコーヒー豆「コピ・ルアク(ジャコウネココーヒー)」とは
-
タリーズの缶コーヒーはまずい?美味しい?特徴や口コミなど徹底調査
-
【保存版】コーヒー豆の品種と銘柄の特徴から焙煎や保管方法まで全解説
-
【2021年最新】コメダ珈琲店の人気メニューを全紹介!季節限定メニューやケーキも
-
【20%OFF】コメダ珈琲のコーヒーチケットの値段や買い方から使い方と有効期限まで解説
-
元町珈琲のモーニングは無料!?注文できる時間やメニューを全解説
コメント